2016/08/28 怪談ストリップ2016楽日、ニュー道後ミュージック

2016年8月28日、愛媛県は松山の道後へ。
目当てはニュー道後ミュージック。
通算で5か所目となる劇場、関東やその近郊在住ならあっさり越えそうな数字だが、どこへ行こうとも最短で2時間弱は必要な場所に住んでいる人にとっては、
通い初めて2か月足らずでの5か所目というのはなかなかハイペースなのかもしれない。

今回は毎年恒例となっている名物「怪談ストリップ」の楽日であり、広島で観て機会があれば是非また観たいと思っていた踊り子さんが2名も出演していた。

そのうちの一人、華月漣さん。
7中の広島で観た際、一人でステージに立っているのに、誰かそこにいるように見せるその表現力。そしてダンスの上手さ。
7頭から通いだした私にとっては、この時点で通算6人目の踊り子さん。眼は現状でも大したことないが、それと比べても歴然とするほど肥えていなかった頃。
それでも、ステージで繰り広げられるその演目に心をすっかり奪われてしまった。

帰りの新幹線で彼女について調べてみると、年内で休業するとのこと。
それまでに、もう一度だけでも観ておきたい。脳裏に焼き付けたい。
そう思って出演予定を漁っていた時に、道後で怪談ストリップに出演することを知る。

公式サイトを見ると、8/15~28が怪談ストリップで、それに出演とのことだったので、ちょうど盆は連休があるからそのタイミングで行こうと7月17日に早々に宿と高速バスを予約。
が、少し時間が経って、出演は8/22~と知る。
8月下旬は日曜のみが休みで、開演時間のことを考えると、日帰りなら1回目の公演だけで帰らねばならない。

結論を下すまでにそれほどの時間は要さなかった。
翌日が仕事だろうと、そんなことは問題ではない。この時を逃すわけにはいかない、観なければならないのだ。
有給は取れない、職場内の便利屋のポジションながら給与面で評価はされていない。そんな仕事のために情熱を傾けるくらいなら、私は趣味に生きる。
私のポラ名であるペケは自他ともに認めるダメ人間の証、趣味に比重を置くに決まっとるだろうが。

こうして、晴れて8月28日は最後まで滞在することに。

久々の松山市内

初めて松山を訪れたのは就職活動での2013年12月。
その時以来の松山は、その当時と今回の天気が同じく曇りだったのもあり、何も変わっていないように感じた。





しかし今回は就職活動が目的ではない。
見える風景はそう変わっていなくとも、心のありようは大きく異なる。

しかし、往路の車内は乗車率が低い割に煩かった。
すぐ隣に座っている女子大生の尽きることのない話、後ろに座る女性の音漏れだかそもそもイヤホンをしていないのか分からないようなミュージックメドレー。
広島に向かう時の乗車率が高いバスですらここまで酷いものじゃない。



大街道で高速バスを降り、JR松山駅まで歩きながら気になったものを写真に撮り、イングレスをぽつぽつと。













コイに餌をあげているようにも見えるけど、これは水に浸けて食べる習性があって、その際にこぼれたものをコイが食べているらしい。

距離はそこそこあったが、慣れない土地の散策は飽きることなくあっという間に到着。



ここで昼食をとろうと、最初は札幌ラーメンのお店にしようとしたが、調べてみると少し気になる評判がある。
すぐ隣のお店に地元の若い女の子3人が入って行くのを見て調べてみると、けっこう良さそうだと思うも込み具合が気になり再考。

結局、前回来訪時も気になっていた「デリー」というカレー店へと向かう。
頼んだのは焼豚玉子カレー(760円)。





ちょっと重そうな感じがするも、食べてみるとそんなことは気にならず、あっという間に完食。
辛さも控えめなので、幅広い世代で食べやすいんじゃないかな。

ここで、この店だけなのか愛媛県全体でそういう傾向があるのか、ちょっとしたカルチャーショックを体験。



カレーと一緒に頼んだオレンジジュース(260円)、出てきたのは氷が入ったグラスと、そこらで買うことができるペットボトルのポンジュース。

オレンジジュースをセルフで入れるなんて経験もだが、それが誰でも購入できるポンジュースをペットボトルのままなのも驚き。
愛媛全体でこうなのかな・・・次に来るときは他のお店でオレンジジュースを頼んでみよう。

ちなみにこのポンジュース、グラスで2杯分だったので得をした気分だったが、普通に買えば200円もしないよなーという思いもあり、少し複雑。
しかしまぁ、旅というものはそういうことすらも楽しむ余裕があってこそだと私は思う。

ここで早々に自分宛ての土産を購入。





松山市駅まで歩き、そこから路面電車で勝山町駅で降り、今回の宿泊先であるネストホテル松山でチェックインを済ます。
ほとんど素泊まりなので、道後から遠くなく、リーズナブルかつドミトリーでない宿泊施設を選んだため施設面を度外視していたが、
その施設面も素晴らしいホテルだった。
すぐ近くにローソンがあるのもポイントとして高い。
今度はしっかり時間がある時に宿泊して、朝食バイキングを堪能したい。

初めての道後

そしていよいよ道後へ。
道後に来たにもかかわらず、温泉に入るわけでもなく目的がストリップだけの人間は極々僅かだろう。
少し散策をしつつ、気になるものがあれば写真を撮っていった。







そうこうしていると、ニュー道後ミュージックに到着。







受付には誰もおらず、スタッフらしき人が扉の前の椅子に座っていたので声をかけてみると、スタッフではなくお客さん。
同じく入場料を払おうにも誰もいないので待機していたとのこと。
取り敢えず扉を押してみると開いたので、中で待機することに。
中で待機を始めた直後にホラームービーの上映が始まったので、たぶん中で待つのが正解だったのだろう。

そのお客さんに声をかけられお話をしたところ、前日にも来られていたそうだ。
こういう時にもっと会話ができれば良いのだが、そこは人見知りかつコミュニケーション下手。
会話を続けることができない。

その後も数人のお客さんが入ってこられたところで、入場料を支払うよう促され、ここで支払う。
開演までの時間が迫ってくると共に、お客さんの数も増えていく。
その中には広島で見かけた記憶がある方もいたが、私には声をかけることはできなかった。

怪談ストリップ開催中の開演時間は16:27、これは427(○にな)と掛けているのだろう。
入口にかかっている時計の針もその時刻で止めてある手の込みよう。



この期間限定の開演アナウンスが流れ、いよいよ怪談ストリップが始まった。

香盤は以下の通り

白咲かのん 嬢(初)
さくらみみ 嬢(初)
葵マコ 嬢
華月漣 嬢


白咲かのん 嬢

演目は「あなた」

始まる前の踊り子の紹介時に演目名もアナウンスされるのは個人的には嬉しい。
使用される楽曲など、知っているものが一つでもあれば勝手に名を付けてその演目を覚えていられるが、名付けることができないと記憶に留めておけない。
名前のないものはどうしても覚えにくい。

怪談ストリップ初体験で身構えていた。
多少のことは驚きもしない心づもりだった。が、最初の楽しそうな雰囲気から急転直下の展開と叫び声。
早々にしてやられたり。

不幸な目に遭い心に大きく傷を負った女性も、やがて幸せな瞬間を迎える。
人生の中で最高に幸せな瞬間の一つであろう、そんな瞬間。
今後の人生も幸せに満ち満ちたものになる・・・はずだった。

幸せな時は初夜で終わる。
全てに気付いた彼女は、一言目に優しく声をかけ、二言目に憎しみを露わにし・・・。

事を終え後悔する。
その涙は何の涙だろうか。
愛と憎しみが入り混じり、憎しみが勝った瞬間もあった。
けれども、やはり、愛していたのだろう。
救いようのないこの感覚が、怪談ストリップの味わいなのだろう。

この踊り子さんは道後専属の踊り子さん。
最初のポラは苦戦気味で数枚のみだったが、回を追う毎に増えていく。
道後だけでしか観られないというのも相まって、また観に来たいと思わせる踊り子さんだった。

さくらみみ 嬢

演目は「地獄少女」

怪談ストリップ初参戦で、演目もそれ専用とのこと。
今回、最もストリップらしいストリップを披露したのが彼女。
曲に応じて舞い、少しずつはだけていき、各種ポーズをし拍手を受ける。
スタンダードなストリップにコンセプトである「怪談」を交えたような形で、ストリップとは何ぞやという一見さんには良いかもしれない。
また、通常のストリップであることで、ファンの安心感を誘うということもあるだろう。
ただ、他の踊り子さんとの演目の違いが際立ち、どっち付かずな演目で消化不良を覚える。
けれど、オープンショーでの印象はかなり良い。
通常時の演目を観てから、今回の演目を考えるべきなのかもしれない。

葵マコ 嬢

演目は「ゆうやくん」

今回の目的の一人。
彼女を初めて観たのは7結の広島第一劇場で、周年作を含む3個出し。
記憶力の乏しい私は、2個出しされるとどちらかは印象に残らず、ましてや毎回演目が異なると何も覚えていないことすらある。
今回の目的でもある華月漣さんも、3回目まで観ておきながら2個目の演目がすっぽり抜け落ちてる有り様。
が、彼女に対しては違う。3個出しの演目すべてをしっかり記憶している。
それは、彼女が創り出す世界観があまりにも強く印象に残っているからだ。

表情の豊かさ、動きがそれぞれの演目の世界観にこれでもかとマッチする。
それは、これが唯一解かと思わせる程。
彼女の舞台での振る舞いに心が奪われていく。

さて、この「ゆうやくん」
使用している曲は普通・・・と思いきや、よくよく聴いていると歌詞に不可解な箇所がいくつもある。
ああ、なるほど、このステージ上にある大量の「ゆうやくん」はそういうことなのか。
曲が終わり次へと移ると、気味の悪いBGMと共に不穏な空気が流れ始める。
証拠も残さぬよう用意周到に採取を始め、物に依っては別途保管。
徐々に感情が高ぶっているのが伝わってくる。
狂気に満ちた彼女は、遂に、彼を我が物とする。

例に漏れず本当に良い演目だった。
白咲かのんさんもそうだったが、ハッピーエンドで終わらないというのも怪談ストリップならでは。
まだまだ初出ししたばかりで、これから更に良くなっていくであろう演目。
次の年もこれを目当てに怪談ストリップを堪能したい。

2個出しで、もう一つの演目は「ほたる」(2回目のみ)

これは広島で一度観た演目。
その時は演目名も分からず、ステージ上での雰囲気から時代背景が分かったものの、通常のストリップとは異なり拍手をすることがない演目。
怪談ストリップではそれが普通だと分かったが、広島では初めて終始静かなステージで、切なさを感じながらも特異なステージにどこか消化不良だった。その特異なステージだからこそ印象に残っていたのだが。

道後で観る「ほたる」は、広島の高いステージと異なり全体を見通しやすい分、こちらの方が良い印象。
前回でストーリーの大筋はしっかり理解できていたものの、後半から最後にかけての急展開は何なんだろうと不思議に思っていた。
ただ、演目名が分かったことと、他の方のレビューを通じて全てを理解する。
そうか、あれは「ほたる」だったのか。全てを理解してなおさら切なくなった。

ポラロイドショーでポラ名を書いたところ、しっかり覚えて下さっていたことに驚いた。
他の方から「どこかでお会いしたことがある」旨のことは言われたことがあっても、ピンポイントで覚えて下さっていたのは嬉しいの一言。

華月漣 嬢

演目は「阿部定」

阿部定についてはwikipediaや関連書籍が多くあるので、そちらを参照されたし。

阿部定には狂気を感じる。しかしそれは、純粋たるが故の狂気だろう。
人は誰しも、自分の欲望と社会通念に調和を持たせて生きている。
そのバランスが自身の欲望の側に傾いている、良く言えば純粋な女性だ。
当然のことながら一世を風靡した時代に私は生まれていないので、伝聞でしか窺い知れることはないのだが、調べていてそう感じた。

そして、舞台上の阿部定からも同じ匂いを感じた。

最後を締めくくる口上が2回目と3回目で異なっていることに気づく。
それに気付いた方が他にもいて、ポラ時にそのことを本人に伺っていた。どうやら全3回で全て違う口上を述べていたようだ。
もう細かなところまでは覚えていないが、かすかに覚えているニュアンスを頼りに推測すると、おそらく誰に向けた言葉であるのかが違うのであろう。
もっとそんな細部や機微に気付けるようになりたいが、そのためには同じ演目を何回も味わうことが必要になるのかな。

ただ、この「阿部定」、本人曰くこれでお仕舞いのようで(年内で休業なのだから当然ではある)、今日はじめての演目ながらもう観られない。
他のお客さんもそのことを承知のはずで、楽日だからという訳でなく、どこか名残惜しそうな様子だったように感じた。
そして、もしかすると普段からかもしれないし、気のせいかもしれない。が、3回目の演目の最後の口上を述べる時、声を少し詰まらせた瞬間があった。
他の回ではそんなことはなかったと思うが、毎回口上が異なっていたように、また演技が達者な方なので、今回は作為的にそうしたのかもしれない。
でも、やはりラストだから感極まるところがあったのかな。や、そんなことを疑うなんて野暮ってもんだ。真相はどうあれ、そう心に刻み込んでおこう。

全ての公演を終えたのが、日付を跨いだ頃。
3回公演でゆとりのある構成だったが、あっという間に終わりの時を迎えた。
さすがに客席も寂しくなっていたが、最後の拍手はその日一番盛大な拍手だった。

華月さんが先程の衣装のままステージに戻り、女性客に演目で用いた小道具をプレゼントする。

その衣装のまま、彼女は外に出て記念撮影をする。
光量が足りず暗い写真だったようだが、後にニュー道後ミュージックのツイッターにてその時の写真が公開された。



外は雨が降っていた。
この雨はなんの雨だろう。
「阿部定」を仕舞ったことへの涙雨か、それともこの時を少しでも永らえようとする遣らずの雨か。

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少し小耳にはさんだ情報から、次は11月のどこかで道後に来なければならないと思いつつ、徒歩でホテルへと向かう。
到着するや否や身支度をして就寝。
翌朝は最速のプランで帰ったものの、仕事は当然の如く遅刻であった。

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