そんな自分の目の前に、去年の4月に異動してきて同じ課で働くことになった女の子が現れた。
しっかり仕事はできるけど、決して自炊はしないしコミュ障だし、休日はほとんどゴロゴロ過ごすという。
そういうことを包み隠さず話す彼女に親近感を感じてすごく好きになって、もっと仲良くなりたいと積極的に関わるようになった。
少しずつ仲良くなって、相手の誕生日祝を兼ねて二人で鰻を食べに行った時に、「友達になってください」。
「ぜひ!」「もう友達だと思ってました」、そう言ってもらえて本当に嬉しかった。
その日から一層、毎日が楽しくて仕方がなかった。
ご飯を食べに行ったり、ライブに行ったり。
まさかこの歳になってそんな友人ができるなんて。
親しくなって色々とお話する中で、自分のあまり知られたくない性癖も拒絶せず、受け入れてもらえて嬉しかった。
本当の自分を受け入れてもらえる経験なんて全然ないんだもん、それがきっかけで異性として好きになった。
結婚するならこの人がいいな、なんて思ってた。
そんな彼女の退職を昨日知らされた、しかも最後の出勤は来週末。
既に転居先と転職先が決まっていて、今の住まいは退去することも決まっている。
実はなんとなく、今年度いっぱいまでしか今の仕事を続けないんじゃないかと思ってはいた。
事前に昨年度で退職して地元に帰るつもりだったと聞いていたし、普段なら休んではいけない日に年休を使っていたから。
人事担当者と人目のつかないところで話しているシーンも見かけたし、別室で上司と話してさっきまで泣いていたんだろうなという表情をしていた時もあった。
それでも、退職をこんな間近になって聞くことになると思っていなかったから、杞憂だと安心していた。
表に出さないでずっと動いていたんだなぁ。
退職すると聞いてからほとんど眠れなくなるくらいショックを受けている。
彼女には彼女の人生があって、彼女が自分の意志で新たな道に飛び立とうとしている。
友人なら寂しくても笑顔で送り出すもんでしょう。
でも、それができそうにない。
なんでもっと早く言ってくれなかったんだろう、裏で転職活動をしていたんだ、その2点で裏切られたかのような悲しさをずっと感じている。
彼女の存在が自分の中で精神的支柱になっていた。
遠くに行ってしまって、彼女ともう二度と会えないかもしれないという寂しさもある。
それらは全部自分本位、自分勝手なことだと分かっている。
勝手に自分で盛り上がって、彼女を特別な存在としていた。
それを相手もそうだとは思い込んではいない。押し付けるつもりもない。
こういう状況に置かれると、自分がいかに気持ちの悪い人間であるかを実感する。
嫉妬深くて独占欲が強い、だから友達なんてできない。
自分に対する嫌悪感まで生じる始末。
それに加えて惰性で生きている自分への情けなさに憤りも感じる。
どうしても自分の思いをかみ砕いて自分の中だけで完結させることができない。
たぶんもう二度と会えなくなるから、会えるうちに自分の思いの丈を全部伝えたい。
これまでの人生、何もせずに大人のふりをして自分の中にいろんな思いを押し留めてきたけど、たまには子供みたいになってもいいよね。
自分の気持ちに蓋ばかりしていたこれまでと同じじゃダメだと思う。
伝えない後悔より、伝える後悔をしたい。
迷惑かもしれないけど、それでも伝えたい。
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